※物語パートに登場する人物・団体・学校名・地名・事務所名等は、特記のない限り創作上のものです。実在の人物・団体・地域とは関係ありません。
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二月の終わり。事務所の窓に冷たい雨が当たっていた。
俺はデスクの上に積み上がった領収書の束を眺めながら、コーヒーを飲んでいた。確定申告の時期だ。探偵業も個人事業である以上、無縁ではいられない。
そのとき、ドアが勢いよく開いた。
「コーキさんっ、税金で人生終わりそうです」
ケンタだった。顔が青い。手にはレシートやら紙やらをぐちゃぐちゃに握りしめている。
「落ち着け。座れ」
「落ち着いてられないんですよ。確定申告、来月締め切りじゃないですか。何も準備してないんです。全部」
「……全部」
「全部です」

■ ケンタの「事件」
ケンタが机の上に広げたのは、過去数ヶ月分のレシートと、未整理のまま放置されたスマホのメモだった。
「売上はいくらだ」
「えっと……クラウドワークスの管理画面に出てたやつが……たぶん30万くらいだと思うんですけど、正確にはわからなくて」
「経費の記録は」
「……してないです」
「領収書は」
「これです」とケンタが握りしめた紙の束を差し出した。「コンビニのレシートとか、ぐちゃぐちゃで」
俺はため息をついた。
「freeeは使っていると言っていたが」
「インストールはしました。でも全然入力してなくて。めんどくさくて後回しにしてたら……」
「後回しにした結果が今だ」
「わかってます……」
ケンタは机に突っ伏した。

■ コーキの分析:確定申告で詰む3つの理由
フリーランス1年目が確定申告でパニックになるのは、珍しくない。原因はほぼ決まっている。
ケンタのケースは三つ全部当てはまっていた。

■ ケイイチロウの一言
奥から出てきたケイイチロウが、ケンタの有様をひと目見て言った。
🔍 ケイイチロウの一言
税金から逃げようとする者は、税金に追いかけられる。向き合う者だけが、税金を味方にできる。
ケンタは突っ伏したまま、くぐもった声で言った。
「……向き合います」
「今すぐ、だ」

■ 解決策:今日からできる「確定申告3ステップ」
もう時間はない。でも、まだ間に合う。今すぐやることは3つだ。
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「ケンタ、今年は間に合わない部分もある。でも来年に向けて、今日から記録を続けることが一番大事だ」
「……わかりました。マネーフォワード、ちゃんと使います。今度こそ」
「毎週一回、入力する日を決めろ。習慣にしない限り、また来年同じことになる」
ケンタは神妙な顔でスマホを取り出し、カレンダーに「毎週日曜:帳簿入力」と打ち込んだ。
■ ルリのまとめ
棚の上のルリが、今日は少し呆れたようにケンタを見下ろしていた。
🐱 今日のまとめ

■ コーキの締め
ケンタが帰ったのは夕方だった。
スマホに会計ソフトのアプリを入れ直して、その場で過去の取引を入力し始めていた。帰り際の顔は、来たときより少し明るくなっていた。
俺がコーヒーを淹れ直していると、事務所のドアが音もなく開いた。
——またか。
「コーキくん! 聞いた聞いた、確定申告の話してたんでしょ」
ミサキだった。今日は大きなカメラではなく、小さなショルダーバッグだけを持っていた。
「なんで知ってる」
「窓、開いてたから。ちょっと聞こえちゃって」
「盗み聞きか」
「たまたま通りかかっただけ!あのさ、私もYouTubeの収益で確定申告が必要になってきたんだけど、どうすればいい?」
俺は少し考えてから言った。
「マネーフォワード、使え。今日の話は全部そこに入ってる」
「えー、それだけ?」
「それだけだ。帰れ」
「ひどい!」
ミサキはぶつぶつ言いながらも、スマホでマネーフォワードを検索し始めていた。
——「たまたま通りかかった」。
事務所は路地の奥にある。たまたま通りかかる場所じゃない。
俺はそのことを、ミサキには言わなかった。

次回:ケンタ、「SNSで知り合った人に騙されかけた」と青ざめてやってくる。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法務・金融・投資助言ではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新情報と異なる場合があります。困ったときは公的窓口(税務署・国税庁・税理士・消費生活センター等)にご相談ください。

