物語パートに登場する人物・団体・学校名・地名・事務所名等は、特記のない限り創作上のものです。実在の人物・団体・地域とは関係ありません。
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穏やかな朝、事務所の窓から柔らかい光が差し込んでいた。
ケイイチロウはすでに出かけていて、事務所には俺一人だった。コーヒーを飲みながら、先月の案件記録を見直していた。
依頼は増えてきた。でも、解決できていない問いが一つある。
——ケンタは、本当にフリーランスでやっていけるのか。
そのタイミングで、ドアが開いた。
「コーキさん! 聞いていいっすか。フリーランスになるには、何から始めればいいんですか」
今日のケンタは、めずらしく落ち着いた顔をしていた。焦りでも、トラブルでもない。本気で前を向こうとしている、そういう顔だ。
「座れ。ちょうどいい機会だ」

■ ケンタの「疑問」
「いろいろ調べたんですよ。開業届、出した方がいいって書いてあって。でも、出さなくてもバレないとも書いてあって……どっちが正しいんすか」
「罰則の話と、出すべきかの話は別だ。罰則がないのは事実だが、青色申告を使うには、期限内に青色申告承認申請書を出す必要がある。開業届もあわせて整えておくのが基本だ——やっておけば税金面で得になる」
「得、ってどういうことですか」
「税金の話だ。開業届と一緒に『青色申告承認申請書』を出すと、確定申告で条件を満たせば最大65万円の控除が受けられる(複式簿記・期限内申告・e-Tax申告等の要件あり)。出さなければ、その権利がない」
「65万……」
「青色申告にすることで、人によっては数万円〜十万円前後の差が出ることもある。所得・経費・扶養状況によって変わるが、知らずに白色申告で申告し続けると、毎年損をし続ける可能性がある」
ケンタは少し考えてから、口を開いた。
「……なんで学校で教えてくれないんすかね、こういうの」
「教えてくれないから、知ってる人間が得をする。それだけだ」

■ コーキの分析:フリーランス開業でつまずく3つのポイント
フリーランスとして動き始めるとき、多くの人が同じ場所で止まる。
■ ケイイチロウの一言
そこへ、出かけていたはずのケイイチロウが帰ってきた。コートを脱ぎながら、こちらを一瞥して言った。
🔍 ケイイチロウの一言
制度を知らないのは、法律を知らないのと同じだ。知らなかったでは済まされない——しかし、知れば今日から変えられる
ケンタは手帳を取り出して、何かを書き留め始めた。

■ 解決策:開業の「最初の3ステップ」
難しく考える必要はない。最初にやることは3つだけだ。
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「ケンタ、道具を最初から整えておけ。後から帳簿を遡るのは地獄だ」
「……確かに。後回しにするの、得意っすからね俺」
「だから最初から仕組みを作れ、と言っている」
■ ルリのまとめ
棚の上のルリが、今日は少し身を乗り出すようにこちらを見ていた。

🐱 今日のまとめ
■ 開業時に合わせて知っておきたいこと
📌 フリーランス初期に直面しやすい4つのポイント
- 住民税・国民健康保険は「あとから」請求が来る——会社員を辞めた翌年に一括で来ることが多い。事前に積み立てておくのが安全だ。
- 会社員を辞める場合は健康保険・年金の切り替えが必要——国民健康保険への加入、または家族の扶養に入るかを選ぶ。辞めた翌日から手続きが必要になる。
- インボイス登録は全員必須ではない——取引先がすべて個人や免税事業者なら、登録しなくても影響が少ない場合がある。自分の状況を確認してから判断しよう。
- 判断に迷ったら税務署や税理士へ——税務署の相談窓口は無料。確定申告の時期以外も相談できる。
■ コーキの締め
「ケンタ、フリーランスは自由だが、全部自分でやらないといけない。税金も、保険も、老後も。でも一つひとつ仕組みを作っていけば、会社員より自由で豊かな生活ができる可能性がある」
「……俺、ちゃんとやれますかね」
「さあな。でも今日、ここに来て話を聞こうとした。それだけで、昨日より一歩前に進んでいる」
ケンタは手帳を閉じて、立ち上がった。
「freee、使ってみます。開業届、出してきます」
「報告を待ってる」
ケンタが帰った後、窓の外を見た。空は明るかった。
しばらくして、スマホにショートメッセージが届いた。番号は登録していないものだったが、文面を見て、すぐにわかった。
「コーキくん! 私も最近フリーランス申請しようか考えてるんだけど、開業届って本名で出さないといけないの? YouTubeのチャンネル名で活動してるんだけど……」
——ミサキか。番号変えたのか。
俺は返信した。「屋号を使えばいい。調べてから聞け」
数秒後。「ありがとう!!やっぱりコーキくんに聞くのが一番!」
既読にして、スマホを机に置いた。

次回:ケンタ、「最初の仕事、どこで取ればいいんすか」と聞いてくる。
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