【第6話】最初の仕事、どうやって取るのか——フリーランスの「仕事の探し方」入門

第6話アイキャッチ:最初の仕事の取り方 仕事・就活の罠

物語パートに登場する人物・団体・学校名・地名・事務所名等は、特記のない限り創作上のものです。実在の人物・団体・地域とは関係ありません。

※本記事にはアフィリエイト広告が含まれます。


事務所に差し込む午後の光が、積み上げた書類を斜めに照らしていた。

開業届を出した翌週、ケンタは少し背筋が伸びた様子で事務所に現れた。

「コーキさん、やりましたよ。開業届、出してきました」

「早かったな」

「freee使ったら、思ったより簡単で。屋号も決めました。『田所デザイン工房』です」

「悪くない」

俺がそう言うと、ケンタは少し照れたように頭をかいた。そして——すぐに困り顔になった。

「……で、仕事ってどうやって取ればいいんですかね」

コーキが午後の事務所にいるシーン

■ ケンタの「疑問」

「開業届は出した。でも、仕事が来ない」

ケンタがソファに座りながら、ぼそっと言った。

「当たり前だ。開業届を出しても、誰も仕事を持ってきてはくれない」

「じゃあどうするんすか。SNSで発信すればいいですか。知り合いに声をかけるとか」

「それも一つの手だ。ただ、ゼロから始めるなら、比較的入りやすいルートがある」

「確実なルート……」

ケンタは身を乗り出した。

「フリーランス向けのマッチングサービスだ。クライアントが仕事を発注していて、フリーランスが受注する。実績がなくても登録できる」

「え、実績なしでも?」

「登録できる。ただし、仕事を取るにはプロフィールと提案文を整える必要がある」

ケンタが仕事の取り方に悩むシーン

■ コーキの分析:最初の仕事でつまずく3つの理由

フリーランスになったはいいが、「最初の一件」が取れずに止まってしまう人は多い。原因は決まっている。

⚠️ 理由① 「仕事をください」と言えない心理的ハードル
「実績がないのに応募していいのか」「断られたら恥ずかしい」——この思い込みが、最初の一歩を遠くする。しかし発注者側は、実績より「やり切ってくれるか」を見ていることが多い。まず動くことが、実績への唯一の道だ。
⚠️ 理由② どのプラットフォームを使えばいいかわからない
フリーランスが仕事を探す場所は複数ある。SNS、知人経由、エージェント、クラウドソーシング——それぞれ特徴が違う。ゼロスタートに一番向いているのはクラウドソーシングだ。案件量が多く、実績なしで応募できる。
⚠️ 理由③ 最初から単価にこだわりすぎる
「時給換算したら割に合わない」と感じて応募をやめてしまう。しかし最初の仕事は稼ぐためではなく、実績と信頼を作るためにある。ただし低単価なら何でもいいわけではない。契約内容・作業量・修正回数が明確な案件を選ぶことが大前提だ。一件こなして評価をもらえば、次の案件が取りやすくなる。
コーキがフリーランスの仕事取得を説明するシーン

■ ケイイチロウの一言

所長室からケイイチロウが姿を見せた。コーヒーカップを手に、静かに言った。

🔍 ケイイチロウの一言

最初の仕事は、稼ぐためではなく、信頼の証明書を手に入れるためにある。

ケンタはしばらく黙って、その言葉を噛み締めていた。

「……証明書、か」

「実績ゼロの人間が信用を得るには、まず一つやり切るしかない。それだけだ」

ケイイチロウの一言シーン

■ 解決策:最初の仕事の取り方「3ステップ」

難しく考えなくていい。まずやることは3つだ。

✅ ステップ① クラウドソーシングに登録する
代表的なクラウドソーシングサービスとして、クラウドワークスやランサーズがある。どちらも無料で、デザイン・ライティング・データ入力・動画編集など幅広い案件がある。まず両方に登録して、案件の雰囲気をつかむところから始めよう。

[ PR・アフィリエイトリンク ]

※登録後にお仕事が成立した場合、運営者に報酬が入る場合があります(あなたの料金は変わりません)

[ 公式サイト(広告ではありません) ]

▷ ランサーズ公式サイトを見る

✅ ステップ② プロフィールを「できること」で埋める
登録したら、プロフィールをしっかり書く。「Photoshopが使えます」「バナー制作の経験があります」など、具体的なスキルを書く。実績欄には、練習で作ったポートフォリオでも載せていい。「何ができるか」が伝わるだけで、応募通過率が変わる。
✅ ステップ③ 小さい案件に数をこなす
短時間で完了でき、納品物と修正範囲が明確な小さな案件から始める。一件やり切って評価をもらう。それが次の案件への扉を開く。実績が積み上がれば、単価交渉ができるようになる。

「ケンタ、最初の案件は練習試合だと思え。試合に出なければ、うまくはならない」

「……わかりました。まず登録してみます」

「プロフィールを書いたら見せろ。添削してやる」

ケンタは少し驚いた顔をして、それからにっこりした。

「……コーキさんって、意外と面倒見いいですよね」

「うるさい」



■ 始める前に確認:トラブルを防ぐチェックリスト

クラウドソーシングで最初の仕事を取る前に、必ず確認しておきたいことがある。

📋 受注前に確認すること
  • 作業内容・納期・報酬額・支払日を文面で確認する
  • 修正回数の上限を確認する(「修正無制限」は避ける)
  • 著作権の帰属・納品物をポートフォリオに使えるかを確認する
  • 無料テスト」「実績になるから無償」の依頼は断る
📋 納品・支払い時に確認すること
  • 請求書の送り方・支払方法・検収条件を事前に決める
  • 2024年11月施行のフリーランス法により、発注側には取引条件の明示や支払期日のルールがある
⚠️ 未払い・一方的な減額・追加作業で困ったら
フリーランス・トラブル110番(厚生労働省委託)に相談する。無料で専門家に対応方法を聞ける。

■ ルリのまとめ

棚の上のルリが、今日は少し目を細めてこちらを見ていた。

🐱 今日のまとめ

最初の仕事は「稼ぐため」より「実績を作るため」と割り切る
クラウドワークスとランサーズに登録して、小さな案件から始める
プロフィールは「できること」を具体的に書くだけで通過率が上がる
ルリのまとめシーン

■ コーキの締め

ケンタが帰ったのは、夕方になってからだった。

スマホで何かを調べながら歩いて帰る背中を窓から見送って、俺はコーヒーを飲み直した。

開業届を出して、屋号を決めて、今日はサービスに登録した。

——三週間前まで「まあいっか」しか言わなかった男が、確実に動いている。

そのとき、事務所のドアが静かに開いた。

ノックもなかった。

「……お邪魔しまーす」

聞き覚えのある声に、俺は振り返った。

ミサキだった。

自撮り棒を折り畳んで脇に挟み、大きなカメラバッグを肩にかけて、事務所の入口に立っていた。

「なんで知ってる、ここの場所を」

「SNSで調べた。看板、写真に撮られてたよ」

俺はため息をついた。

「何の用だ」

「その前にさ——高校の同級生が探偵やってるって、びっくりしたんだよね。東雲学院、同じだったじゃない?」

俺は少し間を置いた。

東雲学院。俺の出身校だ。間違いない。

しかし——この顔に、記憶がない。

あれだけ派手な人間を、三年間忘れていたとは思えない。何かが噛み合わない感覚があったが、今は深く考える気にならなかった。

「……取材なら断る」

「えー。じゃあ話だけでも聞いて。取材。コーキくんの探偵事務所、動画に出てもいい? チャンネル登録者、最近伸び悩んでて」

「断る」

「えー」

ミサキはそう言いながら、許可も得ずにソファに腰を下ろした。

ケイイチロウが所長室から顔だけ出して、ミサキを一瞥してから俺を見た。

その目が「これはまずいことになりそうだな」と言っていた。

——俺も、そう思っていた。

ミサキが事務所に突然現れるシーン

次回:ケンタ、「単価が低くてやっていけない」と悩みを持ち込む。


【ご注意】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法務・金融・投資助言ではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新情報と異なる場合があります。困ったときは公的窓口(消費生活センター・法テラス・日本学生支援機構等)にご相談ください。