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※物語パートに登場する人物・団体・会社名は創作上のものです。実在の人物・団体とは関係ありません。
※家計の状況は収入・支出の内容によって大きく異なります。本記事の内容は一般的な考え方の紹介であり、特定の家計を保証するものではありません。
共働きは世帯の収入が増える一方、支出を「誰も全体で見ていない」状態になりやすく、気づかないうちに赤字が積み上がることがあります。
📝 この記事でわかること
- 共働きでも赤字になる家計の構造
- 気づきにくい固定費・サブスクの重複
- 世帯の収支を見える化する手順
■ オープニング
二月の終わり。前回の見積もり騒動から3週間、サクラとヒロは「結婚式の自己負担額を、二人で毎月5万円ずつ貯めよう」と決めていた。式場探しを始めるのと前後して、二人は結婚後を見据えた同居生活を始めていた。
「その節目のご報告に来ました」
ヒロがそう言って差し出したノートには、几帳面な字で先月の家計簿が記録されていた。だが、その顔は誇らしげというより、青ざめていた。
「二人合わせた手取りは、たぶん少なくない額のはずなんです。なのに……先月、貯金するどころか、二人とも口座の残高が減ってました」

■ 問題提示
「毎月5万円ずつ貯めるはずが、なぜかマイナスに?」
「はい。おかしいと思って、二人の支出を全部書き出してみたんです。そしたら……」
サクラが気まずそうに言葉を継いだ。
「サブスクが、お互いの分で被ってるものが3つもありました。動画配信も、二人ともそれぞれ契約してて。あと、『あっちが払ってくれてるかと思ってた』ってやつが、外食代とかタクシー代とかで何度もあって」
「僕もです。収入が増えたわけでもないのに、なんとなく『二人分だから大丈夫』って気が緩んで、前より外食の頻度が上がってました」
「二人分の財布があるのに、誰も『世帯』としての財布を見ていなかった、ということだな」
「……まさにそれです」

■ コーキの分析:「共働きなのに赤字」になる3つの理由
コーキはヒロの家計簿を受け取り、二人分の支出を並べて書き直した。
「これはよくあるパターンだ。理由は3つある」
⚠️ 理由① 「世帯」の支出を、誰も全体で見ていない
共働きでよくあるのが、家計を「合算」ではなく「気分」で把握してしまうことだ。それぞれの口座・カードは別々のまま、「たぶん二人合わせれば余裕がある」という感覚だけで暮らしている。
だが感覚は、実際のお金の流れとズレやすい。二人が同じ数字を確認できる仕組みがないと、赤字は「気づいたときには積み上がっている」形でやってくる。
⚠️ 理由② 収入が増えた気分になり、支出の感覚だけが緩む
一人暮らしの頃より世帯としての収入は増えているのに、貯蓄額はむしろ減っている——これは珍しい話ではない。外食の回数、タクシーの利用、ちょっとした贅沢。「二人分あるから」という安心感が、支出の基準を静かに押し上げてしまう。
いわゆる生活水準の上昇(ライフスタイルインフレ)は、収入が増えたときほど起きやすい。
⚠️ 理由③ サブスク・固定費の「重複契約」に気づいていない
動画配信、音楽配信、クラウドストレージ——付き合いが長くなると、同じようなサービスをそれぞれ別々に契約していることが多い。1つあたりは千円前後でも、重複した固定費は毎月確実に流出し続ける。一度も棚卸しをしていなければ、気づかないまま何ヶ月も払い続けることになる。

■ ケイイチロウの一言
ケイイチロウが、二人分の家計簿を見比べて言った。
「財布が二つでも構わない。だが、二人の暮らしにかかる金だけは、一つの景色として見ろ。」

■ 解決策:赤字を黒字に変える3ステップ
「じゃあ、俺たちはどうすればいいんでしょうか」
「3つだ。可視化、棚卸し、先取り。この順番でやれ」
✅ ステップ① 世帯全体のお金を一つの場所で可視化する
・二人の口座・カードの利用明細を、1つのアプリやスプレッドシートにまとめる
・「誰がいくら稼いで、二人合わせて毎月いくら使っているか」を、まず数字で把握する
・感覚ではなく数字で見ることで、赤字の原因を探しやすくなる
🖥 支出を自動で見える化するアプリ:マネーフォワード ME(広告ではありません・無料プランと有料プランあり)
✅ ステップ② サブスク・固定費を二人で棚卸しする
・お互いが契約しているサービスを全部リストアップし、重複しているものを洗い出す
・重複分は、どちらか一方に統一するか解約する
・「あっちが払ってると思ってた」をなくすため、固定費・立て替えのルールを先に決めておく(割り勘アプリや共通の支払い担当を決めるなど)
✅ ステップ③ 貯金目標は「先取り」で自動化する
・「余ったら貯める」ではなく、給料日に自動で貯金用口座へ振り替える設定にする
・意志の強さに頼らず、仕組みで「使う前に貯める」状態を作る
・結婚式の自己負担額のように期限がある目標は、月々の必要額を逆算して先取り額を決める

🐱 ルリのまとめ
「『二人分あるから大丈夫』が一番危ないんだよね。財布は増えても、見てる人がいなきゃ意味ないの」
- 世帯の支出は感覚ではなく数字で見る——二人分をまとめて可視化する
- 収入が増えた気分に流されない——重複したサブスク・固定費を棚卸しする
- 貯金は「余ったら」ではなく「先取り」——仕組みで自動化する
■ よくある質問
Q. 共働きなのに、なぜお金が貯まらないのですか
お互いの支出が把握できていないと、同じ用途の支出が二重になったり、どちらも「相手が管理している」と思い込んだまま支出が膨らむことがあります。
Q. 家計の把握は何から始めればいいですか
まず固定費(家賃・通信費・保険・サブスク)を二人分書き出すところから始めます。変動費より先に、毎月必ず出ていくお金を見える化します。
Q. サブスクの重複はどう見つけますか
クレジットカードと銀行口座の明細を、直近3か月分さかのぼって確認します。二人が別々に契約している同種のサービスがないかを照合します。
Q. 家計の分担はどう決めればいいですか
「収入比で分ける」「費目ごとに分ける」「共通口座にまとめる」などの方法があります。正解は一つではないため、二人が納得できる形を選ぶことが大切です。
■ コーキの締め
二週間後、ヒロが少し明るい顔で報告に来た。
「重複してたサブスク、3つ解約しました。あと、給料日翌日に自動で結婚式用口座へ振り替える設定にしたので、もう『貯め忘れる』ことがなくなりました」
「サクラは」
「割り勘アプリ入れました。もう『払ってくれてると思った』は言い訳にできません」とサクラが笑う。
「良い傾向だ」
「なんか、家計簿つけるようになってから、逆に喧嘩が減った気がします。『お金のこと』って、ちゃんと数字にすると、意外と冷静に話せるんですね」
俺は少しだけ意外に思いながら、答えた。
「感情で揉めていたものが、数字にした瞬間に作業になる。よくあることだ」
(財布が二つのままだった二人が、いつの間にか一つの家計簿を挟んで話すようになっていた。……この仕事、たまにこういう報酬がある)

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