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「会社を辞めてフリーランスになった。でも、お金まわりで何をすればいいのか、誰も教えてくれない」
フリーランス(個人事業主)1年目は、手続き・税金・保険・トラブルのすべてを、自分ひとりで背負うことになります。会社員のときは経理や総務がやってくれていたことを、全部自分でやらなければなりません。
このガイドは、当ブログ「コーキの社会人前夜相談室」で扱ってきたフリーランスの相談エピソードを、1年目に起きる順番に並べ直したものです。開業から、最初の仕事、単価、確定申告、国民健康保険、報酬の未払いまで——つまずきやすいポイントを、つまずく前に知っておきましょう。
フリーランス1年目・お金のロードマップ(全体像)
| 時期 | やること | つまずきポイント |
|---|---|---|
| 開業直後 | 開業届・青色申告承認申請書を出す | 「出さなくてもなれる」ので後回しにしがち |
| 開業〜数ヶ月 | 最初の仕事を取る | 実績ゼロで案件が取れない |
| 軌道に乗る頃 | 単価を上げる | 安請け合いで消耗する |
| 1年目の3月 | 確定申告をする | やり方がわからず直前で詰む |
| 独立後〜2年目 | 国保・住民税の負担に備える | 前年所得ベースの請求に卒倒する |
| 通年 | 報酬トラブルに備える | 契約書なし・未払いで泣き寝入り |
以下、順番に見ていきます。
① 開業:まず「開業届」と「青色申告承認申請書」を出す
フリーランスは、実は届出を出さなくても始められます。だからこそ後回しにされがちですが、ここを最初にやるかどうかで、1年後の税金が大きく変わります。
・開業届:事業を始めたことを税務署に知らせる書類
・青色申告承認申請書:複式簿記での記帳・期限内申告・e-Tax申告または電子帳簿保存などの要件を満たせば、確定申告で最大65万円の控除が受けられる(=節税になる)
特に青色申告承認申請書には提出期限があるので、開業届と同時に出すのが鉄則です。「あとで」を続けているうちに期限を逃すと、その年は青色申告が使えません。
コーキのひとこと
「出さなくても始められる」は、「出さなくていい」とは違う。ケンタも、開業届と青色申告承認申請書を同時に出したことで、あとの確定申告がずいぶん楽になった。
🔗 詳しくは:第5話「フリーランスの開業届、誰も教えてくれなかった話」② 最初の仕事:実績ゼロから、どうやって案件を取るか
開業したはいいものの、最初の1件が取れない——これがフリーランス1年目の最初の壁です。実績がないから選ばれない、選ばれないから実績ができない、という悪循環に陥りがちです。
ここで大事なのは、いきなり大きな案件を狙わず、クラウドソーシングで小さな案件から実績を積むこと。プロフィールを「できること」で埋め、数をこなして評価を貯めていくのが、遠回りに見えて一番の近道です。
コーキのひとこと
実績は、待っていても降ってこない。小さい案件を積み上げた先にしか、次の依頼は来ない。
🔗 詳しくは:第6話「最初の仕事、どうやって取るのか」③ 単価:「時給300円」から抜け出す
仕事が取れるようになると、次にぶつかるのが単価の低さです。安い案件を数でこなすうちに、気づけば時給に換算すると数百円——という「安請け合いの消耗」に陥ります。
抜け出すカギは、専門性を一つ決めて深める・作業をツールで効率化する・ポートフォリオを整える・単価交渉を一言試すこと。安い仕事を100件こなすより、単価を上げる工夫を1つする方が、収入も生活も変わります。
コーキのひとこと
安い仕事を100件こなす前に、単価を上げる工夫を1つ試せ。それだけで見える景色が変わる。
④ 確定申告:1年目の3月に詰まないために
フリーランス1年目の最大の関門が、確定申告です。「やり方がわからない」「領収書をためこんでいた」「直前になって詰む」——毎年、多くの人が同じ場所でつまずきます。
ポイントは、確定申告のときにまとめてやろうとしないこと。会計ソフトに日々(せめて月次で)売上と経費を入力しておけば、申告時期に慌てずに済みます。①で青色申告承認申請書を出し、複式簿記での記帳などの要件を満たしていれば、ここで65万円控除がしっかり効いてきます。
コーキのひとこと
確定申告で詰むやつは、だいたい3月に慌てて始める。月次で記録しておくだけで、詰む未来は消せる。
⑤ 国民健康保険:2年目に「後から」効いてくる
会社を辞めると、健康保険は国民健康保険・任意継続・家族の扶養などから選ぶことになります。多くのフリーランスが関係するのが国民健康保険(国保)です。ここで多くの人が驚くのが、2年目の請求額です。
国保も住民税も、前年の所得をもとに計算されます。つまり、稼げた年の請求は翌年に、まとめてやってくる。しかも会社員時代と違い、保険料に事業主負担がないため、全額を自分で払うことになります。
対策は、入金のたびに、税金・国保・住民税用のお金を先に取り分けておくこと。「入ってきたお金の全額を使えるお金」と考えると、翌年に必ず苦しくなります。払えないときは放置せず、自治体の窓口で減免・分割の相談を。
コーキのひとこと
稼げた年の請求は、翌年にまとめてやってくる。入ってきたお金の全額を「使えるお金」だと思うな。
🔗 詳しくは:第21話「国民健康保険の請求額に卒倒した話」⑥ 報酬トラブル:契約書なし・未払いに備える
フリーランスにつきまとうのが、報酬の未払いです。「知り合いだから」と契約書もなく引き受け、納品したのにお金が振り込まれない——というトラブルは珍しくありません。
覚えておきたいのは、契約書という形式の書類がなくても、チャットのやりとり・見積もり・請求書・納品物が残っていれば、それらは合意の証拠になりうるということ。「契約書がないから泣き寝入り」と考えるのは早いです。
2024年11月に施行されたフリーランス新法では、対象となる発注事業者に対して、取引条件の明示や、原則として給付受領日から60日以内のできる限り短い期間での報酬支払いなどが求められます。困ったときは、国の窓口「フリーランス・トラブル110番」に無料で相談できます。
コーキのひとこと
契約書がないから泣き寝入り——それは早い。チャットも見積もりも、合意の証拠になる。
🔗 詳しくは:第22話「仕事のお金が払われなかった話」この1年で味方につけたい「2つの道具」
フリーランス1年目のお金の悩みは、突き詰めると「数字が見えていない」ことから生まれるものがほとんどです。開業・確定申告・国保のすべてに共通して効くのが、次の2つです。
1. 会計ソフト
売上と経費を日々記録しておけば、確定申告で慌てず、要件を満たせば青色申告の65万円控除を狙いやすくなります。今の自分の所得がリアルタイムでわかると、国保・住民税の「翌年の請求」にも備えられます。
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2. お金の入門書
制度の全体像を一冊で押さえておくと、迷ったときの地図になります。
『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』
フリーランスの税金・国保・確定申告を、対話形式でやさしく解説した入門書(第21話で紹介)。
Amazonで見る →まとめ:1年目は「順番」を知っているだけで、だいぶ楽になる
フリーランス1年目のお金は、一度に全部を完璧にする必要はありません。今の自分がどの段階にいるかを知り、その項目だけ押さえていけば大丈夫です。
・開業したばかり →①開業届・青色申告
・仕事が取れない →②最初の案件
・単価が安い →③単価アップ
・3月が近い →④確定申告
・2年目に入る →⑤国保・住民税の備え
・取引に不安 →⑥報酬トラブル対策
それぞれのつまずきを、探偵事務所の依頼人・ケンタと一緒に物語で追体験したい方は、記事一覧からどうぞ。あなたのフリーランス「前夜」に、必要な知識が届きますように。
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