Amazonのアソシエイトとして、コーキの社会人前夜相談室は適格販売により収入を得ています。
※物語パートに登場する人物・団体・学校名・地名・事務所名等は、特記のない限り創作上のものです。実在の人物・団体・地域とは関係ありません。
五月の連休が明けた頃、ケンタから連絡が来た。
「コーキさん、今日行っていいですか。ちょっと……いろいろ詰んでて」
「来い」
三十分後、ケンタが現れた。
目の下にクマがある。髪が少し伸びて、ぼさっとしている。服はよれている。全体的に、何かが崩れている人間の顔をしていた。
「お前、寝てるか」
「……寝てます。たぶん」
「食ってるか」
「コンビニで……だいたい」
俺は黙ってコーヒーを二人分淹れた。
■ ケンタの「事件」
「案件が三つ重なって、二週間くらい死にものぐるいでやってたんですよ」
ケンタがソファにもたれながら言った。
「こなせたのか」
「なんとか。でも終わったら部屋がやばくて。洗濯物が山になってて、ゴミ袋が五つ溜まってて、冷蔵庫の中が空で。掃除しようとしたら、どこから手をつければいいかわかんなくて、結局何もできなくて」
「それで」
「一日中、部屋で何もできないまま過ごして。仕事もしなきゃいけないのに、やる気も出なくて。なんか全部嫌になってきて……」
ケンタは少し黙った。
「コーキさん、俺フリーランス向いてないのかなって思ってきました」

俺はコーヒーを一口飲んでから言った。
「それは生活の問題だ。フリーランスかどうかは関係ない」
「え」
「生活が崩れれば、誰でもそうなる。問題はフリーランスの向き不向きじゃない。一人暮らしの管理の仕方を知らなかっただけだ」
■ コーキの分析:一人暮らしで詰む3つの理由
一人暮らしの生活崩壊は、意志の弱さじゃない。仕組みの問題だ。

■ ケイイチロウの一言
ケイイチロウがちょうど外から戻ってきた。ケンタの様子をひと目見て、コートを脱ぎながら言った。
🔍 ケイイチロウの一言
生活を管理できない者に、仕事を管理することはできない。逆もまた然りだ

ケンタは少し背筋を伸ばした。
「……生活も、仕事のうちってことですか」
「そうだ。体と頭は、最大の商売道具だ。道具を粗末にする職人はいない」
■ 解決策:一人暮らしを「崩さない」3つの仕組み
意志に頼らない。仕組みを作れば、意志がなくても動ける。

「ケンタ、今日帰ったら一つだけやれ。ゴミ袋を玄関に出すだけでいい。全部やろうとするな」
「……それだけですか」
「それだけだ。一つできれば、次が動きやすくなる」
ケンタは少し考えてから、「わかりました」と言った。いつもより小さな声だったが、本気で聞いていた顔をしていた。
■ ルリのまとめ
棚の上のルリが、じっとケンタを見ていた。今日は少し心配そうにも見えた。

🐱 今日のまとめ
■ コーキの締め
ケンタが帰った後、事務所が静かになった。
俺はしばらくデスクに向かっていた。
スマホにLINEが来た。
「コーキくん、一人暮らしって最初ほんとに詰んでたよ!ゴミ捨ての日わからないし、ご飯作れないし、洗濯機の使い方もわからなくて笑。今は慣れたけど」
ミサキだった。
何の脈絡もなく送ってきた。こういうところが、ミサキらしいといえばミサキらしい。
俺は少しだけ考えてから、短く返した。「ゴミの日は区のサイトで調べろ」
「もう調べたよ!コーキくん、一人暮らし長いの?」
返事をしようとして、手が止まった。
——ミサキは、俺が一人暮らしだと知っている。
事務所と自宅は別だ。なぜ知っている。

俺はLINEを閉じた。
ケイイチロウが言っていた言葉が、また頭の中で鳴った。
「調べようとするな」
——わかっている。でも、向こうから引っかかってくる。
次回:ミサキが事務所に来て、ある依頼を持ち込む。
※物語パートに登場する人物・団体・学校名・地名・事務所名等は、特記のない限り創作上のものです。実在の人物・団体・地域とは関係ありません。
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