マルチ商法の断り方|友達に誘われたときの見分け方と断り文例【第3話】

第3話アイキャッチ:マルチ商法の勧誘を受けるケンタ 詐欺・トラブル

Amazonのアソシエイトとして、コーキの社会人前夜相談室は適格販売により収入を得ています。

※本記事にはアフィリエイト広告が含まれます。

友達や先輩からマルチ商法に誘われたら、その場では決めず、理由を足さずに「やりません」と断るのが基本です。「紹介するだけ」と言われても、始めるために登録費や商品の購入などのお金を払う仕組みなら、法律上の「連鎖販売取引」に当たる可能性があります。連鎖販売取引に当たる契約をしてしまった場合は、原則として、法律で決められた書面を受け取った日から20日以内ならクーリング・オフができ(商品の引渡しが書面より後なら、その日から数える)、過ぎていても退会(中途解約)や商品の返品ができる場合があります。迷ったら、消費者ホットライン188に相談してください。

📝 この記事でわかること

  • マルチ商法(連鎖販売取引)に当たるかどうかの見分け方と、ねずみ講との違い
  • よく使われる誘い文句と、その場で確かめること
  • 対面・LINEで使える断り文例と、避けたい断り方
  • 契約してしまったときのクーリング・オフ(期間・起算点・通知のしかた)
  • 20日を過ぎたあとの中途解約・返品と、188への相談

物語パートに登場する人物・団体・学校名・地名・事務所名等は、特記のない限り創作上のものです。実在の人物・団体・地域とは関係ありません。


  1. ■ 結論:その場で決めない・理由を足さずに断る・契約したら原則20日以内に動く
  2. ■ 事例|「うまい話があるんすけど」
  3. ■ なぜマルチ商法の勧誘は「うまい話」に見えるのか|3つの理由
  4. ■ ケイイチロウの一言
  5. ■ マルチ商法とは|連鎖販売取引に当たる条件と、ねずみ講との違い
    1. 「紹介で利益が出る」と誘われ、始めるための負担を求められたら、連鎖販売取引の可能性がある
    2. 連鎖販売取引そのものは禁止されていない。ねずみ講は別の法律で禁止されている
    3. 勧誘する側に決められているルール
  6. ■ 見分け方|よく使われる誘い文句と、その場で確かめること
  7. ■ 断り方の文例|対面・LINE・しつこいとき
    1. その場で迷ったら:「今日は決めません」で持ち帰る
    2. はっきり断る:理由は言わない
    3. LINEで断る:短く、話を終わらせる
    4. しつこいとき:勧誘をやめるよう伝え、記録を残す
    5. 家族を理由にする:どうしても直接断りにくいときの、一時的な言い方
    6. 避けたい断り方
  8. ■ 契約・支払いをしてしまったら|クーリング・オフと中途解約
    1. クーリング・オフは原則20日以内|書面と商品を受け取った日を確かめる
    2. 通知のしかた:契約を特定できる情報を書き、送った証拠を残す
    3. 20日を過ぎたら:退会(中途解約)と、商品の返品
    4. うその説明で契約した場合:取り消せることがある
    5. 18歳・19歳の人の契約
  9. ■ 相談先|188につながる前に残しておく記録
  10. ■ ルリのまとめ
  11. ■ よくある質問
    1. Q. マルチ商法とネットワークビジネスは違うのですか
    2. Q. マルチ商法は違法ですか
    3. Q. 親しい人からの勧誘はどう断ればいいですか
    4. Q. 勧誘の目的を言わずに呼び出されました
    5. Q. クーリング・オフは、メールやLINEなどでも通知できますか
    6. Q. 20日を過ぎたら、もうやめられませんか
    7. Q. 18歳・19歳でも契約を取り消せますか
    8. Q. 「借金してでも始めたほうがいい」と言われました
    9. Q. すでに友達を誘ってしまいました
  12. ■ コーキの締め

■ 結論:その場で決めない・理由を足さずに断る・契約したら原則20日以内に動く

マルチ商法の勧誘で最初にやることは、その場で返事をしないことだ。いまの状況ごとに、やることは次のとおり。

いまの状況やること詳しくは
「面白い話がある」と呼び出された・説明会に誘われた会う前に、会社名・何の勧誘か・扱う商品を聞く見分け方
説明を聞いて、迷っているその場で契約しない。説明の書面をもらって持ち帰り、家族や188に相談する見分け方
断りたい理由を足さずに「やりません」と伝える断り方の文例
契約・支払いをしてしまった法律で決められた書面を受け取った日と、商品を受け取った日を確認する。原則20日以内ならクーリング・オフを検討し、過ぎていても中途解約などを確認する。まず188へ契約してしまったら/相談先

あなたはどれ?

なぜ親しい人からの誘いは断りにくいのか。「うまい話がある」と事務所に駆け込んできた、ある相談から見ていく。


■ 事例|「うまい話があるんすけど」

その日の午前中、俺は事務所で領収書の整理をしていた。

探偵業というのは、地味な作業の積み重ねだ。聞き込み、記録、書類仕事——派手な場面はほんの一瞬で、あとはひたすら地道な確認作業が続く。

コーキが領収書を整理するシーン

そこに聞き慣れた足音が近づいてきた。

「コーキさん! うまい話があるんすけど、聞いてもらえますか!」

ドアを開けた瞬間から、ケンタの目が輝いていた。

——まずい。この顔は、まずい。

ケンタが目を輝かせて登場するシーン

「先週、大学の知り合いに『面白いビジネスがある』って紹介されて、説明会に行ってきたんすよ」

「説明会」

「はい。会場に行ったら20人くらいいて、すごく雰囲気よくて。話を聞いたら、健康食品を紹介するだけで月10万〜30万稼げるって言うんすよ。しかも、自分も使えて健康になれるし、紹介した人が売れれば自分にも報酬が入るって……」

「紹介した人が売れれば報酬が入る」

「そうっす。それで今日、登録費3万円と最初の商品セットを買えば始められるって言われて——」

「待て」

俺は手を上げてケンタを止めた。

「まだ払ってないな?」

「……今日中に振り込めば特別価格になるって言われてて」

「払うな。座れ」


■ なぜマルチ商法の勧誘は「うまい話」に見えるのか|3つの理由

ケンタが引っかかりかけたのは、いわゆるマルチ商法——法律上は主に「連鎖販売取引」として扱われる取引だ。親しい人から誘われるほど、断りにくくなる。理由は3つある。

⚠️ 理由① 「紹介するだけ」という言葉のトリック
「商品を売る」ではなく「紹介するだけ」という表現が使われる。だが今回のように、始めるには登録費と商品セットの購入が必要で、収入は紹介した人の購入から生まれる仕組みだ。「紹介するだけ」と言われても、始めるためにお金を払うなら、それは仕組みの一部だ。
⚠️ 理由② 「今日中」という締め切りの圧力
「今日振り込めば特別価格」「明日には枠が埋まる」——こうした期限は、考える時間を与えずに決めさせるための言葉だと考えておく。冷静に考える時間を与えないことで、勢いで決めさせようとしている可能性がある。
⚠️ 理由③ 「知り合い」から誘われる安心感
見知らぬ人間から勧誘されれば警戒できる。しかし友人や知人、信頼している先輩から誘われると、怪しい話だとは思いにくい。人間関係を通じて広がる仕組みだからこそ、断りにくさが生まれる。

ケンタのケースは三拍子そろっていた。知り合いからの紹介、今日中という期限、そして「自分も使える」という言葉による正当化。


■ ケイイチロウの一言

所長室のドアが静かに開いた。ケイイチロウがいつものようにコーヒーカップを片手に出てきて、一言だけ言った。

🔍 ケイイチロウの一言

“誰でも稼げる”ビジネスが本当に存在するなら、なぜ見知らぬお前を儲けさせる必要がある

ケイイチロウの一言シーン

ケンタはしばらく黙って、その言葉を噛み締めていた。

「……言われてみれば、そうっすね」

「ケンタ、今回は払う前に止まれた。これからフリーランスで仕事をしていくと、怪しいビジネスや副業の勧誘を受けることもあるだろう。断る力は、稼ぐ力と同じくらい大事だ」

「……断る練習って、どうすればいいっすか」

「『誰でも簡単に稼げる』と言われたら、まず条件と根拠を確かめることだ。何を売って、誰がどうやって稼いでいるのか。そこに答えられない話には乗らない」

ここからは、ケンタと一緒に確認したことを、表と文例で整理する。


■ マルチ商法とは|連鎖販売取引に当たる条件と、ねずみ講との違い

「紹介で利益が出る」と誘われ、始めるための負担を求められたら、連鎖販売取引の可能性がある

特定商取引法は、マルチ商法にあたる取引を「連鎖販売取引」として規制している。消費者庁の解説では、商品・サービスの販売などの事業について、利益(特定利益)が得られると誘い、取引を始めるための金銭の負担(特定負担)を求めることなどが、連鎖販売取引を判断する中心的な条件とされている。

条件中身勧誘の言葉の例
特定利益で誘う人を勧誘したり、商品を売ったりすると利益(紹介料・マージンなど)が得られると誘う「人を紹介すると報酬が入る」「会員価格で買って売れば儲かる」
特定負担がある取引を始める条件として、1円以上の負担をさせる。入会金・保証金・サンプル商品・商品など、名目は問わない「登録費3万円と最初の商品セットで始められる」

※出典:消費者庁「特定商取引法ガイド 連鎖販売取引」(特定商取引法第33条)。実際の契約形態はもっと複雑なものも多いとされています。

ケンタが受けた「紹介した人が売れれば報酬が入る」「登録費3万円と商品セットを買えば始められる」という説明は、この2つの条件に重なる。払う前でも、連鎖販売取引の勧誘を受けていた可能性がある。

「ネットワークビジネス」「MLM」など、呼び方はいろいろある。当たるかどうかは名前ではなく仕組みで決まる。なお、国民生活センターは、一般に「マルチ商法」と呼ばれるものと、特定商取引法の「連鎖販売取引」は一致しない場合がある、と注記している。当てはまるか自分で判断がつかないときは、188で相談すればよい。

連鎖販売取引そのものは禁止されていない。ねずみ講は別の法律で禁止されている

特定商取引法は、連鎖販売取引そのものを禁止するのではなく、勧誘・広告・書面・解約のルールを決めている。これに対して、ねずみ講(無限連鎖講)は別の法律で、開設・運営から加入・勧誘まで禁止されている。

マルチ商法(連鎖販売取引)ねずみ講(無限連鎖講)
仕組み商品・サービスの販売を、加入者が次の販売員を勧誘する形で広げていく加入者が倍々で増え続けることを前提に、後から入った人が出したお金を、先に入った人が受け取る金品の配当組織
法律特定商取引法(勧誘・広告・書面・契約解除などのルール)無限連鎖講の防止に関する法律
法律上の扱い取引そのものは禁止されていない。ルールに違反すると行政処分の対象になり、一部は罰則もある開設・運営・加入・加入の勧誘が禁止されている。開設・運営や勧誘には罰則がある

※出典:消費者庁「特定商取引法ガイド 連鎖販売取引」、e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」「無限連鎖講の防止に関する法律」(第2条・第3条・第5条〜第7条)。

勧誘する側に決められているルール

連鎖販売取引の勧誘には、特定商取引法で次のルールがある。どれかが守られていなければ、その時点で話を止めてよい。

ルール中身条文
最初に名乗る勧誘の前に、勧誘する人の氏名・名称(勧誘者や一般の連鎖販売業者の場合は、統括者〔組織の元締め〕の氏名・名称も)、契約の勧誘が目的であること、商品・サービスの種類を告げる第33条の2
うそ・脅しの禁止商品の品質、もうけ(特定利益)、負担(特定負担)、契約解除の条件などについて、事実を告げない・うそを言うこと、威迫して困らせることは禁止第34条第1項〜第3項
目的を隠した呼び出し勧誘目的を告げずに呼び出した人を、公衆の出入りしない場所で勧誘することは禁止第34条第4項
書面を渡す契約の前に「概要書面」(事業の概要)、契約の後に遅滞なく「契約書面」(契約の内容)を渡す。契約書面には、クーリング・オフの事項を赤枠・赤字で書く第37条
広告の表示もうけ(特定利益)について広告するときは、その計算方法を表示する第35条

※出典:消費者庁「特定商取引法ガイド 連鎖販売取引」、e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」。書面は、相手の承諾があれば電磁的方法で渡すこともできます(第37条第3項)。

国民生活センターによると、マルチ取引の相談では解約・返金に関するものが多く、PIO-NET(全国の消費生活相談の情報を集めたデータベース)に登録された相談は2025年度で4,003件あった。扱われる商品・サービスは、健康器具、化粧品、学習教材、出資などさまざまだ。最近の事例には、知人に誘われた健康食品のセミナー、職場の先輩からの勧誘、マッチングアプリで知り合った相手に連れていかれたセミナーなどが挙がっている。


■ 見分け方|よく使われる誘い文句と、その場で確かめること

勧誘の言葉そのものより、その場で確かめられるかどうかで見分ける。確かめようとして話をそらされたり、急かされたりしたら、それ自体が判断の材料になる。

よく使われる言葉その場で確かめること
「面白い話がある」「ちょっと会わない?」何の会社の、何の勧誘か。連鎖販売取引の勧誘なら、勧誘の前に名乗り、目的と商品の種類を告げることが決められている
「紹介するだけでいい」始めるのに、登録費・入会金・商品の購入などのお金がかかるか。かかるなら、連鎖販売取引に当たる可能性がある
「誰でも月10万円」「絶対もうかる」収入の根拠と計算方法を、書面で示せるか。実際に収入を得ている人が、商品の販売と人の勧誘のどちらで稼いでいるか
「今日中なら特別価格」契約の前に概要書面を受け取り、持ち帰って読む時間をくれるか
「自分も使えて一石二鳥」商品の価格と、買う量の決まり。在庫を抱えることにならないか(消費者庁の事例紹介に「大量の在庫をかかえてしまった」相談がある)
「お金がないなら借りればいい」「すぐ返せる」借金やカードの分割払いを勧められた時点で断る。国民生活センターは、借金をさせてまで契約を迫る手口に注意を呼びかけている

勧誘のきっかけによっては、ほかの回のほうが詳しい。


■ 断り方の文例|対面・LINE・しつこいとき

断るときの基本は、理由を足さずに、自分はやらないと伝えることだ。理由を説明すると、その理由をつぶす形で勧誘が続きやすい。国民生活センターは、「お金がない」と断った人が「お金がなければ借りればいい」と借金を勧められた事例を挙げ、「いりません」ときっぱり断るよう呼びかけている。

その場で迷ったら:「今日は決めません」で持ち帰る

「今日は決めません。書面だけもらって、帰ってから読みます」

「家族に相談してから決めます」(社会人なら「信頼できる人に確認してから決めます」でもよい)

使う場面:説明会の会場や、カフェで相手が複数いるときなど、断りにくい空気の中。契約書や申込書にはその場で名前を書かない。お金も払わない。

はっきり断る:理由は言わない

「誘ってくれてありがとう。でも、私はやらない」

「その話はお断りします。これ以上は聞かないね」

使う場面:持ち帰って考えた結果、断ると決めたとき。「どうして?」と聞かれても、「やらないと決めたから」で止めてよい。

LINEで断る:短く、話を終わらせる

「この前の話、考えたけどやらないことにした。誘ってくれたのはありがとう。この話はここまでにさせてね。ほかのことなら、また連絡ちょうだい」

使う場面:直接会うと押し切られそうなとき。断りのメッセージは消さずに残しておく(勧誘が続いたときに、断った記録になる)。

しつこいとき:勧誘をやめるよう伝え、記録を残す

「何度聞いても答えは同じです。もう勧誘しないでください」

使う場面:断ったあとも連絡や呼び出しが続くとき。日付・相手・言われたことをメモし、メッセージは保存しておく。威迫して困らせる勧誘は、特定商取引法で禁止されている。身の危険を感じるときは、その場を離れて110番する。勧誘や契約のことで困ったら、188に相談する(110番は身の安全、188は契約・勧誘の相談)。

家族を理由にする:どうしても直接断りにくいときの、一時的な言い方

「親に反対されたから、やめておく」

使う場面:その場でどうしても「やらない」と言い切れないときに、いったん話を終わらせるための言い方。ただし、家族を理由にすると「説得の仕方を教える」「親には言わなくていい」と説得が続く場合がある。そうなったら、「自分で決めたことだから、やらない」と、理由を足さない基本の断り方に戻す。

避けたい断り方

  • 「お金がないから」:借金やカードの分割払いを勧める口実になりやすい。
  • 「今は忙しいから」「考えておく」:また誘ってよいと受け取られやすい。
  • その場で契約してから断ろうとする:契約したあとに取り消すには手続きが必要になる。迷っているうちは、契約しない。

誘ってきた相手も、仕組みの問題に気づいていないことがある。相手を責めたり、論破したりする必要はない。自分はやらない、と伝えるだけでいい。

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■ 契約・支払いをしてしまったら|クーリング・オフと中途解約

連鎖販売取引に当たる契約をしてしまっても、使える制度がある。どれも期限や条件があるので、気づいた日に動く。

クーリング・オフは原則20日以内|書面と商品を受け取った日を確かめる

項目内容
使える人連鎖販売取引の契約をした個人で、店舗などを持たずに販売などを行う人(法律上の「無店舗個人」)
期間原則として、法律で決められた書面(契約書面)を受け取った日から数えて20日以内
商品の引渡しが後の場合商品の引渡しが書面より後なら、その日(商品を受け取った日)から数えて20日以内(条文では、再販売する商品を買う契約で、最初の引渡しを受けた日)
理由いらない(無条件で解除できる)
方法書面(はがき可)または電磁的記録(電子メール、事業者のクーリング・オフ専用フォーム、FAXなど)
効力が生じる時通知を発した時(期間内に通知を発すればよい)
お金と商品事業者は損害賠償や違約金を請求できない。支払ったお金は返してもらい、受け取った商品は返す。商品の引取り費用は事業者の負担
期間を過ぎていても事業者がうそを言ったり脅したりして、クーリング・オフをしなかった場合は、期間を過ぎてもできる。書面の記載に不備があるときも、期間を過ぎてもできる場合がある

※出典:消費者庁「特定商取引法ガイド 連鎖販売取引」、特定商取引法第40条、国民生活センター「クーリング・オフ」。電磁的記録による通知は2022年6月1日から可能になりました。

ケンタの場合、まだ契約も支払いもしていないので、クーリング・オフの出番はない。ただ、もし「今日中に」と言われて振り込んでいたとしても、原則として書面を受け取った日(商品セットの引渡しが後なら、その日)から20日以内なら、この制度を使える可能性があった。

通知のしかた:契約を特定できる情報を書き、送った証拠を残す

  1. 契約書面を確認する。クーリング・オフの通知先や、メールなどでの通知方法が書かれていれば、それに従う。
  2. 契約を特定する情報を書く。契約年月日、契約者名、商品名、契約金額と、通知を発した日。
  3. クレジットや分割払いで払った場合は、販売会社とクレジット会社の両方に、同時に通知する。
  4. 送った証拠を残す。
    ・はがき・書面:送る前に両面をコピーし、特定記録郵便・簡易書留・内容証明郵便など、送った記録が残る方法で送る。
    ・メール・専用フォーム:送信したメールを保存する。専用フォームなら、送信画面のスクリーンショットを残す。
  5. 記録を保管する。送った記録と関係書類は、少なくとも5年間保管する(国民生活センターの案内)。

通知は自分でできる。書き方がわからないとき、自分の契約が当てはまるかわからないときは、送る前に188で相談すればよい。期限があるので、相談と並行して、通知は遅らせない。

20日を過ぎたら:退会(中途解約)と、商品の返品

店舗などの設備によらずに販売などを行う個人(無店舗個人)は、クーリング・オフの期間を過ぎても、連鎖販売契約を将来に向かって解除(退会)できる。退会した人は、次の条件をすべて満たせば、商品の購入契約も解除できる(返品)。

  • 入会してから1年を経過していない
  • 商品の引渡しを受けてから90日を経過していない
  • 商品を再販売していない
  • 商品を使ったり、消費したりしていない(販売した側が使わせた場合は除く)
  • 自分の責任で商品をなくしたり、壊したりしていない

※出典:消費者庁「特定商取引法ガイド 連鎖販売取引」(特定商取引法第40条の2)。返品したときに事業者が請求できる額には、法律で上限があります(商品を返した場合は、原則として販売価格の10分の1に遅延損害金を加えた額まで。割賦販売の場合などは扱いが異なります)。

うその説明で契約した場合:取り消せることがある

勧誘のときに、もうけや契約解除の条件などについて事実と違うことを言われ、それを信じて契約した場合や、大事なことを故意に告げられず、そのせいで誤解して契約した場合は、契約を取り消せることがある(特定商取引法第40条の3)。当てはまるかどうかは、勧誘の資料やメッセージを持って188で相談する。

18歳・19歳の人の契約

2022年4月1日から、成年年齢は18歳になった。18歳・19歳の人が親の同意なしにした契約は、未成年者であることを理由に取り消すこと(未成年者取消権)ができない。18歳・19歳でも、上のクーリング・オフ・中途解約・取消しは、条件に当てはまれば使える。


■ 相談先|188につながる前に残しておく記録

窓口つながる先・できること番号・時間など
消費者ホットラインお近くの市区町村や都道府県の消費生活センター等の相談窓口を案内してもらえる。契約前に不安に思った段階でも、契約後のトラブルでも相談できる局番なし188。相談は無料(相談窓口につながった時点から通話料がかかる)。施設点検日や年末年始を除き、原則毎日利用できる
国民生活センター「バックアップ相談」188が話し中でつながらないときの相談先03-3446-0999(平日10時〜16時)
全国の消費生活センター等お住まいの地域の窓口に直接かけるとき受付時間は窓口ごとに異なる

※一部のIP電話、プリペイド式携帯電話、電話リレーサービスからは188につながらないため、お住まいの地域の相談窓口に直接かけてください(消費者庁「消費者ホットライン」)。

相談の前に、次のものを手元にそろえておくと話が早い。勧誘が続いている途中でも、消さずに保存する。

✅ 残しておく記録

□ 会社名(統括者の名前)・商品名・誘ってきた人の名前
□ 概要書面・契約書面・説明会の資料(受け取った日がわかるように)
□ LINEやSNSのやり取り(スクリーンショットと、可能なら書き出し)
□ 支払いの記録(振込の控え、カードの利用明細)
□ 勧誘された日時・場所・言われたことのメモ

国民生活センターは、友人や知人から誘われても、きっぱり断ること、安易にクレジットカードでの高額決済や借金をしないこと、不安に思った場合やトラブルになった場合は消費生活センター等に相談することを呼びかけている。


■ ルリのまとめ

棚の上のルリが、今日もどっしりと座ってこちらを見下ろしていた。

ルリのまとめシーン

🐱 ルリのまとめ

「その場では、絶対に決めない」

  • 「紹介するだけ」でも、始めるのにお金がかかるなら連鎖販売取引に当たる可能性がある——呼び方ではなく、仕組みで見分ける
  • 断るときは理由を足さずに「やりません」——迷ったら、書面をもらって持ち帰る
  • 連鎖販売取引の契約をしてしまったら、原則として書面を受け取った日(商品の引渡しが後ならその日)から20日以内ならクーリング・オフ——過ぎていても中途解約などがあるので、188に相談する

■ よくある質問

Q. マルチ商法とネットワークビジネスは違うのですか

呼び方が違うだけで、仕組みが同じなら扱いは変わりません。人を勧誘したり商品を売ったりすると利益が得られると誘い(特定利益)、始めるために入会金や商品の購入などの負担(特定負担)がある取引は、名前にかかわらず特定商取引法の「連鎖販売取引」に当たる可能性があります(消費者庁の解説では、負担の名目は入会金・商品など問わないとされています)。

Q. マルチ商法は違法ですか

連鎖販売取引そのものは、法律で禁止されてはいません。特定商取引法は、勧誘の前に名乗ること、うそや脅しの禁止、書面の交付、クーリング・オフなどのルールを決めていて、違反すると行政処分の対象になり、一部は罰則もあります。一方、後から入った人が出したお金を先に入った人が受け取る金品の配当組織「ねずみ講(無限連鎖講)」は、別の法律で禁止されています。

Q. 親しい人からの勧誘はどう断ればいいですか

その場で結論を出さず、「今日は決めません」と持ち帰るのが一つの方法です。断ると決めたら、理由を足さずに「私はやらない」と伝えます。「お金がない」と断ると、借金を勧められることがあるので避けたほうが安心です。

Q. 勧誘の目的を言わずに呼び出されました

連鎖販売取引の勧誘では、勧誘の前に、勧誘する人の氏名・名称(勧誘者などの場合は統括者の氏名・名称も)、契約の勧誘が目的であること、商品・サービスの種類を告げることが決められています。目的を告げずに呼び出した人を、公衆の出入りしない場所で勧誘することも禁止されています。こうした呼び出しを受けたら、話を聞く前に帰ってかまいません。

Q. クーリング・オフは、メールやLINEなどでも通知できますか

書面のほか、電子メール、事業者の専用フォーム、FAXなどの電磁的記録でも通知できます(2022年6月1日から)。LINEなどのSNSを契約時の連絡手段として使っていた場合に、そのSNSでの通知を一方的に受け付けない扱いは、消費者に不利な特約として無効になると考えられています(消費者庁のQ&A)。ただし、争いを避けるため、まず契約書面に書かれた通知先と方法を確かめてください。送信したメールや画面のスクリーンショットは保存しておきます。

Q. 20日を過ぎたら、もうやめられませんか

やめられます。まず、事業者のうその説明や威迫で誤認・困惑してクーリング・オフしなかった場合は、期間を過ぎていてもクーリング・オフできます。また、店舗などの設備によらずに販売などを行う個人(無店舗個人)は、クーリング・オフの期間を過ぎても、連鎖販売契約を将来に向かって解除(退会)できます。入会から1年以内、商品の引渡しから90日以内で、使っていないなどの条件を満たせば、商品の返品もできます。うその説明で契約した場合は取り消せることもあるので、188に相談してください。

Q. 18歳・19歳でも契約を取り消せますか

2022年4月1日から成年年齢が18歳になったため、18歳・19歳の人は、未成年者であることを理由に契約を取り消すことはできません。ただし、クーリング・オフ、中途解約、うその説明による取消しは、条件に当てはまれば年齢にかかわらず使えます。

Q. 「借金してでも始めたほうがいい」と言われました

借金やカードの分割払いを勧められた時点で、断ってください。国民生活センターは、「お金がない」と断る人に借金をさせてまで契約を迫る手口や、貸金業者にうそを言うよう指示される事例に注意を呼びかけています。

Q. すでに友達を誘ってしまいました

友達が契約していたら、友達にもクーリング・オフや中途解約が使える可能性があります。法律で決められた書面を受け取った日と商品を受け取った日(原則は書面の日から20日以内、商品の引渡しが後ならその日から数える)を確認してもらい、188への相談を伝えてください。誘った側として、自分の契約をどうするかも、あわせて188で相談できます。

📌 この記事で参照した一次情報(2026年10月20日確認)

※制度・窓口の内容は改定されることがあります。手続きの前に、各機関の公式ページで最新の情報を確認してください。


■ コーキの締め

「ケンタ、誘ってきた知り合いも、悪意があるとは限らない。自分が信じていて、仕組みの問題に気づいていないこともある。怒るより、そっと距離を取る方が賢い」

「……誘ってきたやつのこと、どうしたらいいっすか」

「『誘ってくれてありがとう。でも俺はやらない。この話はここまでにしてくれ』。それだけでいい。理由は足さなくていい」

ケンタは少し肩の力が抜けた顔で、うなずいた。

「ありがとうっす。あやうく3万円、また飛ぶとこでした」

「今回は、3万円の追加の損を防げたな」

「笑えないっすよそれ……」

ケンタが帰った後、スマホにLINEが届いた。ミサキからだ。

『ねえコーキくん。副業説明会に誘われたから、潜入してきた! 健康食品の話で、すっごく怪しかったけど、動画のネタにはなりそう。チャンネル登録よろしく✌️』

俺は画面を見て、深くため息をついた。

——ネタのためでも、一人で潜入するな。巻き込まれてからでは遅い。

既読だけつけて、スマホを机に伏せた。

ミサキのLINEを見てため息をつくコーキ

【ご注意】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法務・金融・投資助言ではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、最新情報と異なる場合があります。困ったときは公的窓口(消費者ホットライン188・消費生活センター等)にご相談ください。

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